この環境で「トリル」と「役割集中」が絶滅危惧種な訳

 前回の記事で私は今マニュシャンで悪戦苦闘しているということはお話ししましたが、今回はその考察から出てきた副産物です。

 シャンデラといえば襷を持たせてトリックルームからの置き土産!が鉄板だというのはわかっているんですが(実際パォンさんも大体その型ですし)そもそも「この環境でトリル軸ってほぼ見ないよな……」と思いその理由を考えてみました。



 といっても自分が考えて出した結論は「トリルはトリル下で相手のポケモンをワンパンできないと強くない!」という至極真っ当なものでした。
だってそうでしょう、トリルを決めてエースを着地させる時点でトリルターンは残り3ターンしかありません。しかしこの環境の禁伝というのはどいつもこいつも耐久が馬鹿げていますから一発では倒せません、となると一体目の禁伝を突破した時点で残っているトリルターンは?はい、そうですね残り1ターンです。これでは死に出しダイウォールダイマ技でGGです。トリル下でDM無しで相手のポケモンを突破できれば相手に先にDMを切らせることができて後発DMで巻き返すことができる、という考え方もありますがそれもうトリル無しでいいじゃん!

 ……まあトリルがこの環境で死滅しているのはこんな理由じゃないか、という軽めの考察でした。ただ、シャンデラの強みは「補助技が豊富で特性も優秀な特殊炎アタッカー」ということはわかりましたのでトリル軸含め諦めず考察していきたいと思います。

 で、もうひとつの役割集中についてをなぜ考察しようと思ったかといいますと「ザシアンの相方全員特殊じゃない?ていうかなんで黒バド+カイオーガみたいな構成っていないんだろう?」と思ったのがきっかけです(物理イベルタルとかいう特大級の例外はいますがあれは奇襲型というか特殊前提での型誤認が狙える利点があるという考えの元除外させてください)。
 これにもかなりこの環境特有の事情が絡んでいるんだと思います。まず、この環境でメジャーな受けポケというとラキヌオーポリ2の3強だと思いますが、この内ラキヌオーは禁伝の型によっては1体で崩せることもあるし、逆に2体がかりでも崩せないこともある、といった性質のポケモンです。そしてポリ2の対策としてはむしろ物理と特殊の両面で崩すのが一般的ですよね。そう考えると役割集中する必要がないといいますか、不利対面でもある程度仕切りなおせるように物理と特殊で攻め方を分散させるのが合理的なのではないかという考えです。
 それに、DMや禁伝の影響で8世代では「受けで消耗させて攻めでスイープする」という受け切りを諦めた構築タイプが流行しています(これが「戦略の進化」なのか「戦略の適応」なのかは9世代以降を見てみないと何とも言えませんが)。そう考えると役割集中というのは槍の矛先を見失い形骸化した概念なのでしょうか。


 結構長く書いてきましたが、ザシアン以外に対面的な物理禁伝が見つからなかった、という案外単純な理由な気もしてきました。積み構築やサイクル構築では禁伝の物理・特殊が偏ることは構築記事を拝見した感じ結構な例がありましたし。